2011年10月18日

「小さな花がひらいた」

□全国ツアー府中公演
蘭寿とむ主演の全国ツアーを府中の森芸術劇場で観る。
江戸風土記との冠がついた和物で、「小さな花がひらいた」という山本周五郎原作の柴田作品で、初演が1971年というからもう40年前である。

作品は、江戸末期文政年間に江戸を襲った大火の中で、必死に生きる焼け出され父母を失った多くの子供たちとの交流を背景に、「大留」の若棟梁「蘭寿とむ」演ずる茂次と幼馴染「蘭乃はな」のおりつを中心に展開する。それに町役の裕福な商家「福田屋」のお久の娘「花野じゅりあ」のおゆうがからむ。

□このお芝居のさなか、3.11の東日本大震災で親を失った多くの子供たちがいることが心に浮かぶ。
町役の規則を盾に取った対応や、下町に生きる子供たちのけなげな生命力や現実に雄々しく立ち向かい、「大留」の再興を期す茂次、これらが、3.11後の原発事故や津波被害に後手後手に回る役人の対応や、深い悲しみの中から立ち直ろうとする被災地のみなさんの力、今風に言えば請負業務の誠実な完遂をもって信頼を獲得し企業の立て直しを図る中小企業の経営者、それらの姿が二重写しになってくる。

□たまたま私は、この公演の直前の10月13日、14日と宮城県において、女川の仮設住宅などをみせていただく機会を得、住民の方々ともお話しさせていただいた。そんな経験の直後ということもあって、この作品には本当に心を温められた。全国ツアーなのでぜひ東北を中心に多くの公演があればみなさんを元気づけるのにつながるのではないかと思い公演予定を調べると、11月に秋田県大館市、青森市、岩手県北上市で上演されるものの、福島県や宮城県では公演予定がなかった。いつか、被災地での公演を期待したい。

□東京弁護士会では、被災した高校生たちの学費の支給する支援活動を行い自身もなにがしかの協力をさせてもらった。
 また宝塚でも、被災後の東京公演では、チャリティとしてトップスターをはじめ多くの生徒さんが終演後、皆様の前に募金を訴えておられたことも思い出された。

□さて、お話しはそれてしまったが、蘭寿の若棟梁ぶりはしっかりときまっていて、相手の蘭乃はなも、一途な想い、おゆうに対する複雑な気持ちや、子供たちに対する深い愛情、揺れる心の葛藤など、けなげさを出して演じている。
蘭蘭コンビで全国を励ましてほしいと思う。

□また、ショーは「ル・ポァゾン」。以前、大地真央の跡を受けた剣幸、こだま愛の月組でのショーのイメージは「ル・ポァゾ~ン♪ ル・ポァゾ~ン♪」というメロディーと共に記憶に残っている。
このショーで、トップに続いて、たびたび登場する「華形ひかる」頑張っていましたね。
それから懐かしかったのは、今は亡き大浦みずきがかつて歌っていた「ジュテーム」が聞けたこと。これもまた心に残る名曲である。

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